リーダーの皆様との会話を終了する際「大変なお仕事をされているんですね」というコメントをいただくことがあります。 
         
別に全くそんなことはなく、クライアントさんの方が遙かに大変なお仕事をされていると思うのですが、一方で、会話を通じて「やろうとしていること」を理解されたようにも思われ、少しうれしく思う瞬間です。
       
         
例えば紙に絵や文字を描きたいとき、方法は二つあると思います。 
       
・一つは、そのまま対象を描くという方法。
・もう一つは、外側を塗ることで対象の輪郭を浮き出させる方法。
            
「こうしてください」「これが正しいです」と対象そのものを描いていくのではなく、周辺を語り尽くすことで、自然と本当に大事なエッセンスの輪郭が浮かびあがってくる。
        
そうした体験は普段なかなかすることはないので、その新鮮な驚きが冒頭のお言葉につながって来るのだと思います。
         
  
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言葉はそれそのもの全体を説明することはできません。
        
例えば「犬」という言葉。少しネットで調べてみますと以下の様な意味が語られています。
 
    
『古くから人間が家畜として飼い親しむ、いぬ科のけだもの。一般に勇猛で従順、嗅覚(きゅうかく)・聴覚が鋭いので、番用・狩猟用・警察用・労役用などにする。品種が多く、愛玩(あいがん)用のものもある。』
            
  
「犬」の意味を説明しようと思ったとき、上記は「役務」の側面、「持っている特徴」の側面、「目的」の側面など説明されていますが、いずれも、ある一面からしか説明することができません。

「犬そのもの」を説明することは構造上不可能で、辞書自体も 色々な側面を語ることで「犬」という全体を浮かび上がらせようとしている。
       

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私達の言説も一緒で、人は何かを語っていますが、本当に大事なことの「そのもの」を語ることは構造上できません。
          
        
私達はこうした言葉の複雑な側面はなんとなく知っており、ビジネスにおいては、話を構造化したりしてできるだけシンプルな表現に多くの意味を乗せよううとします。
   
これは、基本的なビジネススキルとして本当に大事なことです。
   
一方で、ご自身の変容のタイミングや、寄って立つ指針を作ろうとするとき、最初から「それそのもの」を語ろうとするとどうしてもそこには到達しきれません。
        
 
そんなときには、それそのものを語るのではなく「しっかりと周辺を語って、本当に大事なエッセンスの輪郭を浮かび上がらせる」という意識が本当に大事。
       
   
「急がば回れ」ということですね。